ponyoxaのいっぽいっぽ

ponyoxaの日記です

わたしのお兄ちゃん猫の話

冬になると、猫のあたたかさが恋しくなる。

わたしはいまは一人暮らしで、猫と暮らしていないんだけど、実家を出るまでは生まれたときからずっとそばに猫がいる暮らしをしていた。

 

生まれたときには、1匹の雄猫がいて、わたしが生まれる前から、母のお腹に寄り添ってゴロゴロと喉を鳴らしていたらしい。わたしがぐずって泣いていると普段は隠している自分のおもちゃを出してきてあやそうとしたり、ペロペロなめたり。

猫というよりも人間らしさが際立つお兄ちゃん猫だった。

 

わたしが生まれたときには、母は危篤状態になって輸血をする事態になったのだけど、そうしたこともあってか、自分がいなくてもわたしが生きていけるようにと、母は厳しくわたしを育てていた。

小学校にあがる前は、何かと叱られては家の外に出されていた。家の外に出されたわたしは、玄関のところでしくしくしているわけだけど、お兄ちゃん猫は玄関と母のあいだをわーわー鳴きながら何度も行き来し、わたしのことを中に入れろと母に主張していた。

あまりにも鳴くものだから、母も放っておけなくて、お兄ちゃん猫に免じてという形で、わたしはいつも家の中に戻れていたのであった。それで母とも仲直りをして、母がわたしのことを膝に乗せてくれて、そうしていると、お兄ちゃん猫はわたしの膝の上に乗り込んできて、3人でぎゅっとしていた。

 

おそらく、赤ん坊だったわたしはお兄ちゃん猫の扱いが乱暴だったりしただろうし、無理な抱っこをしようとしたり、しっぽやひげを引っ張ったりしたんだろうなと思う。ただ、お兄ちゃん猫はほんとうにお兄ちゃん然としていたから、ひっかかれたり、パンチされたりした記憶は一度もない。

 

いつもぎゅっとして、あったかくて、ふわふわで、幸せな思い出だった。